走りが良くて家族を快適に乗せることができて荷物も載り、AWDで雪道もへっちゃら。そんな万能のクルマを求める人には新型WRX S4はかなり魅力的ではないでしょうか?新型になりSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用し、新型2.4LターボエンジンやアイサイトX、デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリングなど、新世代の装備を搭載しています。
2021年のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したレヴォーグに引き続き注目度が高いWRX S4ですが、先日北米スバルがWRX STIの発売を見送るという発表をしたことで、今回のWRXのトランスミッションはCVTのみになることがわかりました。独自技術も多いスバルのCVTですが、今回のWRX S4ではさらに色々な改良が加わり、熟成されたということなので、試乗で確かめてみることにしました。また、万能のクルマにも必ず欠点やデメリットはあるものです。今回、試乗して感じたデメリット・注意点について言及していきたいと思います。
WRX S4の欠点・デメリット①CVT有段変速時の変速ショック
WRX S4のCVTはスポーツセダンらしいダイレクト感のある走りが楽しめるように、様々な制御が盛り込まれています。例えばドライブモードをSやS#モードにすると、本来無段変速のCVTを8段変速として使い、キレのある変速や意のままの走りを楽しむことができます。また、シフトダウンのときには必要に応じてブリッピング(エンジンを空ぶかしして回転数を低速ギアに合わせること)も行います。
これらの制御自体はとてもよくできています。パドルを操作してからの反応時間が早く、変速自体にかかる時間もATやDCTと肩を並べられるレベルです。実際試乗時間のほとんどをSモードかS#モードで過ごしました。WRX S4を購入したとしたら、家族を乗せるとき以外は基本Sモードだと思います。
しかし、このCVTの有段変速には欠点があります。それは変速するときの変速ショックです。MTやATの変速ショックというと、エンジンからの駆動力が抜けることによる減速感が主な原因ですが、このCVTの場合は加速方向に変速ショックを感じることが問題です。また、減速時のシフトダウンではブリッピング制御が入りますが、その時にも加速方向に変速ショックを感じます。
もちろん身の危険を感じたり実安全上問題があるわけではありませんが、気になる人は気になると思いますので、試乗でこの点をチェックしてみると良いと思います。
WRX S4の欠点・デメリット②次のタイヤ選びの難しさ
これは製品そのものの欠点やデメリットではありません。自分がWRX S4を購入後、タイヤ交換のタイミングで悩むだろうな、というレベルです。なぜならWRX S4が新車で装着しているタイヤがちょっと特殊だからです。
新型のWRX S4に装着されるダンロップのSP SPORT MAXX GT600Aは、もともとS209(WRX STI をベースとしたSTIのコンプリートカー)専用として開発した経緯があります。以前試乗した新型レヴォーグはブルーアースGT(225/45R18)を履いており、WRX S4とはサイズ(WRX S4:245/40R18)も含め、性能が大きく異なります。
実際、新型WRX S4のハンドリングは非常にシャープで、ハンドルを切った瞬間横に蹴り飛ばされたように曲がる力を発揮します。もちろんこれはタイヤだけでなく、先代から向上したボディの横曲げ剛性も貢献していますが、主要因は新車装着タイヤだと思います。
そうなると問題になるのが、タイヤ交換時に次にどのタイヤを選ぶべきかという点です。いつもならワクワクしながら選ぶところですが、新型WRX S4の場合は悩ましい選択になりそうです。専用設計のタイヤは他の銘柄との比較がしにくいからです。例えば、新車装着タイヤよりも乗り心地を良くしたいと思っても、車両の各性能に占めるタイヤ性能の割合がわかりません。その結果、予想外にハンドリング性能を落としてしまう、といったことが起きかねません。新車装着タイヤを選べば間違いはありませんが、高く付く上にちょっと味気ない選択に感じてしまいます。
WRX S4の欠点・デメリット③外観の派手さ
これも欠点やデメリットというには個人の趣味嗜好の問題ですが、メインターゲットになりそうな4,50代が乗るにはやや外観が派手すぎると思います。
ホイールハウス周りからサイドスポイラーの樹脂パーツは、流速が速い場所で空気を整流する効果があるとのことです。すべて意味のあるデザインであることには好感が持てますが、一般人から見るとやや派手なスポーツカールックなクルマに見られそうです。私の主観ですが、ハイパフォーマンスモデルの見た目はWRX STI に任せて、S4はせっかくのスポーツセダンなのでBMW3シリーズのようにフォーマル感のある装いでも良かったのかなとは思います。
WRX S4の欠点・デメリット まとめ
走り、快適性、積載性、AWDの安定性を備え、かつ比較的リーズナブルとも言える万能のクルマ新型WRX S4ですが、敢えて指摘するならば下記の欠点・デメリットがあります。もちろん致命的なものは皆無で、購入者の許容度次第ではありますが、購入する際の参考になれば幸いです。
・SやS#モードの有段変速時に加速方向に変速ショックがある
・S209で専用開発されたタイヤを新車装着しているためタイヤ交換時の選択が難しい
・大人が乗るスポーツセダンとしてはやや外装が派手
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