【試乗記】新型インプレッサ&クロストレック それぞれの比較と欠点

 スバルの新型インプレッサとクロストレックに試乗しました。今回は試乗でわかったそれぞれの立ち位置と、欠点について解説していきます。

 どちらも優秀なモデルですが、乗り比べるとスバル内でのそれぞれの立ち位置がわかりました。私としては『インプレッサ=キビキビ走るコンパクトスポーツモデル』、『クロストレック=インプレッサのSUV版』であってほしかったのですが、乗ってみるとインプレッサはコスパが良いエントリーモデル、クロストレックはエース級の売れ筋モデルとして作り分けられていると感じました(どちらも悪い意味ではありません)。

 燃費が良くないことはもはや自明だと思いますので、それ以外の欠点について書いていきます。一言でいうとインプレッサはエンジン出力、クロストレックはオールシーズンタイヤの性能です。

インプレッサ=コスパの良い優秀なエントリーモデル

 試乗車のグレードはAWDのST-Gで、車両価格は3,036,000円です。タイヤはダンロップのSP SPORT MAXX 050(215/50R17)を履いていました。ややスポーツ寄りの銘柄なのでクロストレックよりも路面からの凸凹入力はダイレクトに感じられますが、不快ではありません(クロストレックが良すぎです)。

 デュアルピニオン電動パワーステアリングを採用したこともあり、操舵感は雑味がなくてマイルドなハンドリングです。目線のブレがクロストレック同様少なく、長時間乗っても疲労は少ないと思われます。

 私としては『インプレッサ=キビキビ走るコンパクトスポーツモデル』であってほしかったのですが、乗ってみるとキビキビというよりは穏やかな乗り味です。さらに全開加速をしてもパンチがありません。スムーズなエンジン+モーターのアシストで上質なのですが、コンパクトスポーツ感はありません。一言でいうとコスパの良い優秀なエントリーモデルです。コーナーを攻めるような走りはせず、大人しく良いものを味わえる人向けのクルマだと思います。

 (私にとっての)欠点はエンジン出力です。この優秀なシャシーに1.6Lターボエンジンを載せ、『ミニレヴォーグ』を作ってくれたら楽しそう、という妄想をしてしまいました。ちなみにWRX S4ではCVTがネックでしたが、インプレッサやクロストレックでは気になりませんでした。クルマのキャラクターもありますが、スムーズで優秀なパワートレインです。

クロストレック=オールマイティーに使える主力モデル

 クロストレックの試乗車のグレードはAWDのLimitedで、車両価格は3,289,000円です。タイヤはファルケンのZIEX ZE001 A/S(225/55R18)を履いていました。オールシーズンタイヤで、ややブロック形状に近いトレッドパターンです。クロストレックの外観はインプレッサよりも一回り大きく感じ、SUV人気の理由の一つでもあるクラスレスな雰囲気で好印象です。

 駐車場内での速度コントロールが抜群に良く、オールシーズンタイヤの乗り心地も良好です。この時点で良いクルマだと確信しました。速度を上げても良い印象は変わりません。車体のサイズが丁度いいこともあり、快適に街中を走りたいなら文句なくオススメです。最低地上高が十分確保されており、フルタイムAWDの走破性は折り紙付きなので、海や川や林道のガレ場に行きたくなるクルマです。

 操縦性についてちょっとだけ気になったのは、ハンドルを切った時の車体ロールです。操舵初期はロールせずにノーズがスルッと入り良い感じですが、そのあと横Gが発生するとグラッとロールします。最近のSUVでよくみる特徴ではありますが、もっと操舵初期のロールを許容し、連続性を持たせたほうが自然で好ましいと思います。

インプレッサ・クロストレックの欠点

 基本的には(燃費以外)良いことだらけのインプレッサとクロストレックですが、前述したようにインプレッサのエンジン出力はやや不満でした。コンパクトカーに対してキビキビとした走りを求める層には物足りないはずです。

 ただし、クロストレックのエンジン出力には不満を感じませんでした。SUVに対してキビキビとした走りは求めていません。ゆったりと目的地までのクルージングを楽しむなら現状のエンジン出力で十分です。

 クロストレックの欠点としては新車装着タイヤのチョイスです。試乗車が履いていたファルケンのZIEX ZE001 A/S(225/55R18)はオールシーズンタイヤなのですが、スノーフレークマークがありません。スノーフレークマークとは、雪道でもスノータイヤとしての性能を発揮し、高速道路での「冬用タイヤ規制」でも通行が可能です。

 クロストレックのタイヤにはこのスノーフレークマークがないので、雪道の走行はできないと考えないといけません。オールシーズンを名乗る以上、ある程度の雪道性能は持っているはずですが、誰もその性能を保証できないので、ディーラーもメーカーも雪道を走るときはスタッドレスタイヤに替えてください、というしかありません。一般ユーザーからすると雪道を走れないオールシーズンタイヤって意味あるの?ってことになります。

 降雪地域に住む人はスタッドレスタイヤが必須なので新車装着にオールシーズンは不要ですが、たまに雪が降る程度の地域やレジャーでスキー場に行く程度ならスノーフレークマーク付きのオールシーズンタイヤ(+AWD+運転技術)で十分です。新車装着タイヤはクルマの性能を左右する重要な役割を持っているのでかなり難しい選定ですが、ランドローバーのディフェンダーのようにサマータイヤとオールシーズンタイヤ(スノーフレークマーク付き)が選べるのがベストではないでしょうか?

まとめ

・インプレッサはコスパが良い優秀なエントリーモデル

・クロストレックはオールマイティーに使える主力モデル

・キビキビ走りたい人にとってはインプレッサのエンジン出力は不満

・クロストレックのオールシーズンタイヤはスノーフレークマークが無いので中途半端

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